雲を掴むような

主に本のことや自己満足の日記を書いています

雑談

くるりの琥珀色の街、上海蟹の朝に何故か今さらハマってしまいここ1週間ずっと聴いているのだが、この曲の独特の良さを体現してるものって何なのか分からない。歌詞も何を言いたいのか曖昧だし…そもそもこれって音楽ジャンルとして何に該当するのだろうか?シティポップなのだと思うが、シティポップにしてはあまりにも田舎っぽく、かといって古臭くなく、ヒップホップにしてはあまりにも優しく安心感があるというか…この感覚を得られる曲になかなか出会えない。

くるりの経歴からしてもかなり異質な曲で、この曲がリリースされた時にTwitterで話題になってたのを何となく覚えている。その時は邦ロックと呼ばれるものをよく聴いていたのであまり気にもしていなかったけど…異質な曲をつくったくるりになんらかの意図があるはずで、それが分かればもっとこの曲を好きになれると聴きながら思ったので、その辺についてダラダラと書いてみようと思った。

 

上海蟹の中毒性の根底にある「安心感」が他のシティポップで中々得られないのは何故なのだろう。最近音楽に全然触れていないので知識が無いけど、シティポップといえば今の有名どころではサチモス、ヌルバリッチ、ネバヤンとかになるのだろう。なんかお洒落すぎて合わないんですよね…ヨンスはマジで天然なので大好きだけど。

彼らの描くシティはあまりにもお洒落でキラキラしすぎている気がする。東京ってそんなに綺麗な街には思えないんですよね。適応出来なかっただけかもしれないけど。だからこそ東京に適応しているサングラスをしたイケてる人達が外車に乗りながらなが聴いてるBGMという感じに聴こえてしまう。(好きな人はすみません…田舎者の私には合わないというだけです。)

 

上海蟹の曲調に近いのってリップスライムとかサニーデイ・サービスあたりだろうか。どちらもかなり好きなのだが、リップスライムは基本ポジティブな若さがあって、2012.3年超えたあたりから特に大人っぽい優しさがあるけどR&Bが根底にある感じがする。叔母がリップスライムの大ファンでCDをたくさん貸してもらっていたので今でもたまに聴きたくなるけど、自分の気質的に上海蟹の方が「落ち着く」という所に収まる。サニーデイ・サービスは優しくもお洒落でずっと聴いていられるけど、サニーデイ・サービスの作るノスタルジックって自分の生きていた中では経験していない虚像の懐かしさで、20年そこらしか生きていないやつがれにとって安心感という言葉で表現出来るものではないんですよね…

 

結局上海蟹の安心感は曲の系統がどうこうという話ではなく、「くるりが作る安心感」そのものという感じがする。くるりの中では「春風」が1番好きなのですが、その理由は等身大の自己表現に安心感が凄いあるというところにあって…きっと上海蟹も歌詞に「安心感」を感じられる何かがあるので、今度は歌詞について考えてみたい。

 

マンダリンの楼上のマンダリンが中国を指し、外輪船の汽笛が聴こえてくるので、琥珀色の街ひいてはbeautiful cityは上海であると思われる。上海は海沿いの貿易で急激に栄えた都市で、東京よりも近未来的で高層ビルがバンバン立っているが、その一方で裏には日本人が思い描くチャイナタウンといった屋台街があったりする、合理的な冷凍都市と人情溢れる田舎が共存したとても面白い街だ(留学していたことがあるので分かる)。

beautiful cityと琥珀色の街は別のものだと思われ、beautiful cityが都会に該当するため、琥珀色の街は土で汚れつつも活気のある屋台街を意味するんじゃないかと思っている。ダークなラップ部分は都市部を描いていて、その後のキャッチーなサビはきっと屋台街なのだろう。意図的に都市と田舎を対比させている様に思える。この根底は都会へのネガティブな感情なのだろうか。

 

ネットで色々サイトを調べていたら、「くるりの上海蟹はシティポップへの皮肉である」って書いてる記事があって、「これだ」と思った。上海蟹の歌詞の節々にはbeautiful cityへの別れやネガティブな表現がある(特にもラップ部分)が、シティポップの曲調でシティへのネガティブを書くのは確かに皮肉なのかもしれない。何よりラップから突然「上海蟹食べたい」という脈絡のないポップに移るところ…ここがとてもキャッチーで好きなのだが、シティポップへの皮肉と捉えたらさらに素敵だ。岸田繁は「東京」を歌った、東京を意識しちゃう田舎者の感覚を持つアーティストだからまず間違いないと思う。上海に留学していた時、屋台外から高層ビルを見た時に、ふと「結局こちら側の生活がいいなぁ」と思ったのを覚えている。私が感じたあの気持ちを、岸田繁は歌ったんじゃないだろうか。その気持ちを私自身が知っているからこんなにも安心感があるのかもしれない。

 

 

憧れて都会に来たけど実際は思っていた様な都会での生活はできていなくて、そんな日々を続けていた時ふと、好きなあなたと美味しいものを食べられればそれだけで幸せなんだと思ってしまう、そんな日を歌った曲なんじゃないかなぁと思う。なんて等身大でかわいいのだろう…

 

この曲の好きな理由が分かったのでこの記事を終わります。オチとかはないです…ちなみに最近この安心感をCody・Lee(李)に感じています。こういうバンドが増えればいいな。では